医療法人荘和会研修会

ひとが地域のなかで生きるということ

――社会学の視点から――

2001年11月22日

張江洋直(稚内北星学園大学)

1.地域という視点

*「福祉六法」から「地域福祉」へ

・「福祉三法」時代から「福祉六法」時代へ
    (敗戦処理)生活保護法・児童福祉法・身体障害者福祉法

社会福祉事業法

     (社会福祉の要請)=高度経済成長期=社会変動期の「対処」事業

                母子福祉法(母子及び寡婦)・老人福祉法・精神薄弱者福祉法

*〈地域〉という視点が発見された。

 

 2.「当たり前」のことの〈発見〉

*ひとは「地域」のなかで暮らす。→「普通に」生活をする。

*ノーマライゼーション(normalization)「障害者や老人等社会的に不利を負う人々を当然に包含するのが通常の社会であり、そのあるがままの姿で他の人々と同等の権利を享受できるようにするという考え方であり、方法である。障害を持つ人々に対する取組みが、保護主義や隔離主義など必ずしもその人間性を十分に尊重したものではない状態に陥りがちであったことを反省し、払拭しようとするもので、このノーマライゼーションの思想は、「障害者の権利宣言」の底流をなし、「完全参加と平等」をテーマとした「国際障害者年」にも反映されている。」(『社会福祉用語辞典』厚生省社会局・児童家庭局監修、中央法規出版)

*なぜ、〈当たり前のこと〉に覆いがかけられていたのか?

 →1.「抽象化された思考」あるいは「理念化された観念の実体化」

 →2.日本における社会福祉の官僚制的な生成

 

 3.「科学万能主義」の弊害――高度経済成長期の〈神話〉――

*「アトムの子ども」→「科学主義」は「科学技術崇拝」!!

*「科学主義」は〈科学ないしは科学的な知見を尊重する〉のとは異なる。

*「科学的思考」とは、一般化あるいは抽象化する思考である。

 →具体的なものは複雑である。

 →複雑系を単純化する認識。この時に、なにが〈捨てられたのか〉を捉えることが必要。

*パースペクティヴ性そのものは、通常なかなか意識されない。

*科学的思考は、自覚的に、徹底的に〈一面化〉する。

→「世界を数学的にみる」と「世界は数学的に成立している」とは異なる。

*「一人ぼっちのおじいさん」は可哀相なのか?

 

 4.「上から被せられた」福祉制度――〈上からの政策〉という伝統――

*明治期に成立した商法はフランス製だった!!

*欧米では、基本的に「教区」が基本単位となった「社会福祉」制度。

→日本では「学区」。戦前の方面委員=戦後の民生委員制度。

*戦後「民主主義」は〈上から被せられた〉!!

*戦後の社会過程において成立した社会福祉制度は、高度経済成長期という社会変動期に対応した「対処的あるいは予防的な政策」である。

 

 5.「一人ぼっちのおじいさん」は可哀相なのか?――主体はどこに?

*QOL(quality of life)「「生活の質」「人生の質」「生命の質」などと訳される。一般的な考え方は、生活者の満足感・安定感・幸福感を規定している諸要因の質。諸要因の一方に生活者自身の意識構造、もう一方に生活の場の諸環境があると考えられる。この両空間のバランスや調和のある状態を質的に高めて充足した生活を求めようということ。この理念は、医療、福祉、工学その他の諸科学が、自らの科学上・技術上の問題の見直しをする契機になった。医療及び福祉の、「生活の場」での援助も、生活を整えることで暮らしの質をよりよいものにするというクオリティ・オブ・ライフの視点をもつことによって、よりよい援助を求めることができる。」(『社会福祉用語辞典』、中央法規出版)

*「子ども」は主体か?→「保護主義」の心性的な基盤

 →マニュアル的な図式的な思考から、具体的な思考へ!

   「思考のエコノミズム」に別れを告げよう!!

 

 6.具体的に考えるということ――ノーマライゼーションとQOL――

*〈頭で考える〉から〈身体で考える〉へ!

→「個室」が幸せをもたらすとは限らない。

→「身体拘束」がだめなのではない。

→・文脈・状況を考えること。→〈地と図〉あるいは〈錯視〉

・〈同じ物〉はどこにあっても〈同じ色〉とは限らない。

*〈人が生きる〉ということの文脈を考える。

  1.人間関係

  2.現在は過去と未来から構成される。

 


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