2003年度「情報メディア入門」(4月7日)

張江洋直(メディアと社会)

テーマ:体験とメディア――〈メディア論〉とは何か――                    

 

1.             体験の広大さ

・体験とは〈身体〉という領域と直結している。

・五感を使え!(視覚・聴覚・嗅覚・触覚・味覚)

*体験をすべて言語化することはできない。

 

 2.マルチ・メディアとは何か

・対面状況はマルチ・メディア状態である。

メディアのイメージを一新しよう。

↓メディアとは、たんなるコミュニケーションの媒体=仲立ちではない。

「メディア」とはむしろコミュニケーションそのものを成り立たせる「場」であって、単なる通路ではない。メディアはその意味で「送り手」と「受け手」をともに決定する力を持ちうるわけであり、メディアをどのように機能させるかは「送り手」がどのようなメッセージを持つかということよりも重要である。(粉川  1988:866)

 

3.メディア・イメージの狭さの主因

・シャノン・モデルがコミュニケーション・モデルとして流布された。

1960年代以降、シャノン・モデルによるコミュニケーション研究

 

            (記号化)           (メディア)       (記号解読) 

情報源−→−送信機――――→通信路――――→受信機−→−受信地(目標)

(発信体)メッセージ  送信信号        受信信号    メッセージ  (受信体)

                                  雑音源

 

・シャノン・モデルではメディアはたんなる通信路にすぎない。


ほんとうにそれでいいのか?(
1980年代半ばにメディア論的な見方が定着しはじめる。)

 

4.メディア論が必要

→〈メディアの変容〉と文化=経験・生活・社会の変容とを関連づける発想

a)マクルーハンのメディア論

メディアの歴史は「感覚器官の拡張」の歴史である。

いかなる技術も徐々に完全に新しい人間環境を生み出すものである……。環境は受動的な包装ではなくて、能動的な過程である。(McLuhan 1964=1987:ii)

マクルーハンにとって「メディア」とは「われわれ自身の拡張したもののこと」であり、「われわれ自身の個々の拡張」とは「新しい技術のこと」(ibid:7)である。たとえば「衣服は皮膚の拡張であり」(ibid.:120)、「機械化」とは「人間の外なる自然あるいは人間の内なる本性を、増幅させ特殊化した形式に移し変えたものに他ならない」(ibid.:59)

 

b)オングのメディア論

メディア(経験を媒介するもの)と社会的構成の相関関係

声の文化にとっては、学ぶとか知るということは、知られる対象との、密接で、感情移入的で、共有的な一体化をなしとげる、ということを意味する。……書くことは、知られる対象から知る対象を切り離し、そうすることによって、「客観性」の条件をうちたてる。その客観性とは、知られる対象に個人的に関与せず、そこから距離をとるという意味である。……口語の語り手たちがもっているような「客観性」は、きまり文句的な表現によって強いられるところの客観性である。つまり個人[聞き手や語り手]の反応はたんに個人的、あるいは「主観的な」反応として表現されるのではなく、むしろ共有的な反応のなかにすっぽりとくるまれたものとして表現される。つまり共有的な『たましい』にくるまれたものとして表現される。(Ong,Walter J. 1982=1991:101)

 

5.             メディア決定論あるいは技術決定論の問題性

→メディア変容と社会変容(変動)とは、ただちに相関するものではないが、メディア変容は、社会変容(変動)の一つの重要な要因である。

  エレクトリック・メディア……は、情報技術の発達によって変化するだけではなく、国家や資本の編制力から、市民、あるいは大衆の想像力にいたる、複合的で重層的な社会の諸力の錯綜した結果として、今日のような姿に固定化させられてきた。(水越 1996:186-7)

 

6.             体験の相からメディアを考える

 

*これからの課題!

 

 参考文献

McLuhan, M.     1964   Understanding Media, McGraw-Hill.[1987]栗原裕・河本仲聖訳『メディア論』みすず書房.

粉川哲夫         1988 「メディア」『社会学事典』(見田宗介・栗原彬・田中義久編)弘文堂.

C.E. Schannon & Weaver,W.

1964   The Mathematical Theory of Communication, Univ. of Illinois Press.=一九六九年、長谷川淳・井上光洋訳『コミュニケーションの数学的理論』明治図書

水越伸            1996 「情報化とメディアの可能的様態の行方」吉見俊哉編『メディアと情報化の社会学』(『岩波講座 現代社会学』第22)岩波書店.

Ong, Walter J.     1982  Orality and Literacy.[1991]桜井直文はか訳『声の文化と文字の文化』藤原書店.

吉見俊哉・水越伸  1997 『メディア論』放送大学教育振興会.


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