2003年度稚内北星学園大学市民カレッジ第1(20030622)

デジタル・ライブラリの可能性  
デジタル・メディア社会における図書館の機能

 張 江 洋 直  
                  (稚内北星学園大学)

 1. 「ウェッブ図書館」という理想=神話

「すべての子どもたちが、キーボードを操作することで、今までに書かれたすべての本、描かれた絵、作曲されたすべての交響曲を手に入れることができるようなアメリカ」云々
                                                                              クリントン前米大統領(1999年一般教書)より

・ここに「ウェッブ図書館」という理想像が描かれている。

・ウェッブ図書館の実現を阻むのは、法的・経済的ものであって、技術的なものではない。
                                                      著作権と経済効率

 

2.インターネット(ウェッブ)は図書館の代替物か

(1) インターネットはからっぽの洞窟?

『インターネットはからっぽの洞窟』クリフォード・ストール(倉骨彰訳)草思社、1997
原著は1993

【目次(一部)】ネットワーク神話と幻影のない町/コンピュータが人間を使うということ/標識なき迷路、恐るべきマニュアル/デジタル世界のはかない運命/色えんぴつとカラーモニタ/サイバービジネスと電脳監獄/ネットを飛びかうからっぽの会話/…………

  ・ストールの警鐘は結果的に妥当しているが、残念ながら、「インターネットはからっぽの洞窟」ではない。
  しかし、それは図書館の代替物でもない

(2)「ウェッブが図書館ではない理由」Hawkins & Battin,1998=2002:265-284.

・情報がすべてそこにあるわけではない.
・ウェッブには基準や確証が欠けている.
・ウェッブ上の目録作業は最小限のものである.
・ウェッブでは情報の効率的な検索ができない. 

3.デジタル・ライブラリの可能性

(1)   図書館は何のためにあるのか

・「社会的に共有された情報ストック」、つまり、「社会の記憶装置の一つ」(根本20024
・インターネットは「情報フローの仕組みにすぎない」(ibid.:5

 (2)   アナログとデジタルの併存

・図書館から情報館へ

・公共的な「情報のストック」へ


参考文献

張江洋直 2001「メディア変容と〈マス・リテラシー〉」『稚内北星学園大学紀要』第1号.

張江洋直・井出裕久・佐野正彦編 1997 『ソシオロジカル・クエスト』白菁社.

Hawkins B. L.& P. Battin(ed.)  1998  The Mirage of Continuity, Council on Library and Information Resources.=2002 『デジタル時代の大学と図書館』三浦逸雄、斎藤泰則、廣田とし子訳、玉川大学出版部。

黒崎政男 1999  「メディアの受容と変容」(黒崎ほか共著『情報の空間学』NTT出版).

水越   1999  『デジタル・メディア社会』岩波書店.

根本   2002  『情報基盤としての図書館』勁草書房.

戸田光昭 1993  『情報サロンとしての図書館』勁草書房.

吉見俊哉・水越伸 1997 『メディア論』放送大学教育振興会.


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