現代ロシア文化におけるスターリニズム表象とその起源

研究の目的

 スターリニズムに対する検証はソ連においてもスターリン時代の終焉と共に始まったと言えるが, 1960〜70年代には反体制知識人による批判がなされ,80年代のペレストロイカ期以降は新しい資料の公開が進められてきた。 また,社会主義体制の崩壊した90年代以降,イデオロギーを超えた議論が可能になると, 文化研究の領域でスターリニズム研究が盛んに行われるようになった。

 他方,現代ロシア文化の世界では,スターリン時代を素材としたポストモダン小説やテレビドラマが脚光を浴びている。 それは批判的なものだけではない。 「レトロ・ブーム」という形でノスタルジーの対象とされることもあるし, スターリン・アンピール様式の高層アパートが新たに建設されるといった動きも起こっている。 かつてスターリニズムをめぐってなされた言説が「隠された真実」を露呈させるものであったとするならば, 現在のロシア文化でなされているのは新たなイデオロギー空間の創出と言えるかもしれない。 「強い指導者」や「大国の復活」が求められる現代ロシアで,スターリン時代をめぐる表象はいかなるイメージを帯び, いかなる機能を果たしているのだろうか?

 本研究は1960年代末から現在までの間にロシアでなされたスターリン時代を題材とする表象を分析し, その時代ごとの変化や影響関係,社会的機能を探るものである。 それにより,ソヴィエト文化と現代ロシア文化の継続性と差異を見出すと同時に, 現代ロシア文化の内包するイデオロギー的構造を明らかにしたい。

研究代表者

 岩本和久(稚内北星学園大学)

研究期間

 2008(平成20)〜2012(平成24)年度


過去の活動・成果

2011年度

2010年度

2009年度

2008年度


 科学研究費補助金による研究です(基盤研究(C),課題番号:20520298)