3.1.1 イーサネット

イーサネットあるいは IEEE802.3(本当は少し違いがありますが、本書では 触れません)には複数の種類があります。また、本来のTCP/IPでの階層では データリンク層までが一つになっているので、その上での規格であり、 そのためにデータリンク層での通信方式もイーサネットでは決められて いますが、ここではその物理層としての側面でのみ見てみることにします。

初期のイーサネットは一本の同軸ケーブルを共有するものでした。その ために、それを利用するプロトコルであるTCP/IP には共有ネットワーク (シェアードネットワーク)の考え方が色濃く、それは今も同じなのです( それを取り巻く技術は変化しているために、実際には同じであって、同じで ないという面白い状況でもあります)。そのような訳ですので、イーサネット の古い規格を理解しておくことは重要ですし、未だにネットワーク図は 共有型で書かれていたりします。

初期のイーサネットの速度は 10Mbpsでした。そして、この速度に対して 利用するケーブルによって種類が分かれていました。

種類 ケーブルタイプ ケーブル名称
10BASE-5 太い(1cm)同軸ケーブル イエローケーブル
10BASE-2 細い(5mm)同軸ケーブル RG-58
10BASE-T 撚対線 UTP (シールド無しの撚り対線)

10BASE-5 と 10BASE-2 は同じ同軸のケーブル(テレビなどに利用される同軸 ケーブルと構造は同じで抵抗値が違うもの)で、太さが違うだけですが、 直径で2倍も違うと敷設の際の手間が大きく違うものでした(太いと曲げにくい )。こうした同軸のケーブルは外部からのノイズに対する対策としてシールドが されており、通常は金属の線で編み組まれたもので中心の芯線が電磁波的に 保護されています。

同軸の名称は芯線、シールド、外側のジャケットが一つの中心を有している ことから来ています。初期においては、ノイズに非常に強いことが必要で あったためにこのような同軸ケーブルが利用されました。

同軸ケーブルを用いたネットワークは、簡単に言えば、一本の銅線を共有して いたと言えます。そのために、この銅線をネットワークにつながった端末 から利用するためには工夫が必要でした。この点についてはデータリンク層の 所でもう一度解説することにします。

こうした同軸ケーブルを用いたネットワークでは、初期の敷設やその後の ネットワーク変更が難しかったのですが、その後UTPケーブル (Unshealded Twist Pair cable)が登場します。 ネットワークで利用するUTPケーブルは品質などの点で、満たすべき規格が あり、利用するイーサネットによって以下のようになっています。

種類 スピード ケーブル規格
10BASE-T 10Mbps カテゴリー3以上 (Cat.3)
100BASE-TP 100Mbps カテゴリー5以上 (Cat.5)
1000BASE-T 1000Mbps 拡張カテゴリー5以上 (enhanced Cat.5)

これらの規格の中身については通常知る必要はありませんが、現在利用している ケーブルがどの規格なのかは良く知っておく必要があります。簡単には、 100Base ではカテゴリー3のケーブルを使ってはいけないのです。勿論、 この場合使うと罰せられるというのではなく、100Mbpsの速度が全く保証されず、 大きな速度低下やその他様々なトラブルに巻き込まれることになるということ です。ケーブルの規格は、ケーブルに必ず書かれていますから、良く注意して 見ておきましょう。また、既に敷設されたケーブルも良く把握しておかなければ なりません。今後、新しく敷設するのであれば、拡張カテゴリー5以上に しておけば良いでしょう。



Noriyo Kanayama