3.1.3 光メディア

光での通信は電磁波ノイズに非常に強いという特徴がありますが、その一方で 特有の問題もあります。まず、光を用いた規格には例えば以下のようなものがあります。

種類 スピード ケーブル規格 最大伝送距離
100BASE-FX 100Mbps マルチ,シングルモード 412,2000,20000m
1000BASE-SX 1000Mbps マルチモード 550m
1000BASE-LX 1000Mbps シングルモード 5Km

光ファイバケーブルは、いずれの場合でもコアと呼ばれる光が伝播する部分と、 その周囲を覆うクラッドと呼ばれる部分から出来ています。

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ここで、100BaseFXは100BaseTXと媒体が違うだけのものです。一方、1000Base においては、SXとLXなどが規定されています。本来、SXとLXは利用する光の波長の 違いだけなのですが、SXでは光の 波長が短いために、マルチモードと呼ばれる光ファイバーケーブルしか利用 出来ません。一方、LXはそれよりも長い波長の光を用い、原理的にはマルチモード 光ファイバーケーブルも使えますが(この場合には最大伝送距離は 550mになります)、 あまり意味はないでしょう。この光ケーブル の違いは、光が走るコアと呼ばれる中心にある媒体の径の太さにあります。 そして、径が太いものは光が屈折のために色々なモードが混じることが避けられない ためにマルチモードと呼ばれており、伝送到達距離は550mと短くなりますが、 プラスチックなどを使って作ることが出来るために安価で、折り曲げなどに 強いという性質があります。

現在ではあまり使われていませんが、ステップインデックスというタイプの 光ケーブルもありました(音声やビデオの短距離伝送に使われています)。

このような光ケーブルでは、図のように光はコアとクラッドの境界部分で、 反射することによって伝播する タイプですが、原理的に直線的に進むものと、反射して進むものでは道のりが ことなるために(反射すると長い距離を走ることになる)、出口で光の位相が ずれてしまい(光も波の一種なので、道のりが異なると、波の山や谷の位置が ずれてしまう)、伝送効率が非常に悪くなってしまいます。

このような問題を解決したのが、グレーデッドインデックスと呼ばれる 光ファイバーで、マルチモードで使われる光ケーブルは現在では全てこれが 使われています。

グレーデッドインデックスでは、コアの中心から離れるに従って徐々に屈折率 を変えて作ってあり、このために光は中心から離れていくものはゆっくりと 曲げられて、再び中心を通る軌道へと戻るようになっています。更に、こうした 物質中での光の速度は屈折率によって異なるので、それを利用して、遠回りした 光は早く進み、中心を直線的に進んだ光が少し遅く進むことで、二つの経路 による位相のずれを非常に小さく抑えています。このことによって、マルチ モードはステップインデックスに対して伝送距離が長くなり、 接合など取り扱いが楽なケーブルに なっていますが、ある程度の損失はやはりあるために、長距離には利用できません。

いずれにせよ、マルチモードのモードは光が走る経路のことであり、多くの モードが伝送に関与するという意味で、マルチモードと呼ばれています。

マルチモードのケーブルとしては、ガラス製では、コア径が、50$\mu$m のものと 62.5$\mu$mのものが使われています。プラスチック製では、コア径120$\mu$mが 利用されています。一方、光の波長としては、1000BASE-SXでは 850nm の 波長の光が利用されています。

径の細いシングルモード光ファイバーは 物理的に一つのモードの光のみを伝達するために、非常に損失が少なく、 超長距離の伝送が可能になっています。これは極微の世界の物理法則について 勉強しないと中々理解しづらいのですが、言わばコアの径の太さが光の粒子の 大きさぎりぎりに作ってあるために、反射もせずに、真っ直ぐ進むのだと思え ば良いでしょう。 つまり、反射できないので、単一の経路を進んだ光しかないという意味で、 シングルモードと言います。 但し、普通の粒子とは違って、他の光とは衝突もせずにまるで幽霊のように お互いを通り抜けていきますので、一本で送受信に用いることが出来ます。 1000BaseLXは規格上は5Kmとなって いますが、シングルモード光ファイバー自体は数十Kmの到達も可能になって います。しかし、材質的にはガラスのために、折り曲げに非常に弱く、取り扱い が難しいと言われています。 シングルモードファイバーのコア径は大体10$\mu$mで、 1310nm程度の波長の光を利用しています(FTTHではこれが用いられています)。

また、光を用いた10Gなどの規格も実用化されつつあります。

参考
長さの単位
$\mu$m マイクロメートル $10^{-6}$m $=$ 0.001mm
$nm$ ナノメートル $10^{-9}$m $=$ 1000 $\mu$m



Noriyo Kanayama