3.3.2 IPアドレス

最初に説明したようにインターネット上の住所は数で表現されています。そして、 この IP アドレスはIPv4では、32bitの長さを持っています。

通常、IPv4 では IPアドレスを 8bit ごとに区切り、十進数で表記します。 8bit のデータは負の数を入れなければ、0〜255 までの256通りの数を表現 できるので、IPv4のアドレスは次のように書かれることになります。

             0〜255.0〜255.0〜255.0〜255

例えば、202.11.100.1 のように書く訳です。

では、この 32bit はどの位の 大きさかと言うと、2bit では 00,01,10,11 (二進数表現)の4通りの数が表せ ることから分かるように $2^{2}$です。従って、32bitでは、$2^{32}$通りの 数が表せます。これは一体どの程度の大きさなのでしょうか。

\begin{eqnarray*}
2^{32} & = & 2^{2} ( 2^{10} )~{3}\\
& \simeq & 4 \times {1000^{3}}\\
& = & 4 \times {10^{9}} = 40億 \\
\end{eqnarray*}

(ここで、$2^{10}=1024$ なので、大体1000として計算している。)

つまり、世界人口よりも少ないのである。勿論、インターネットの始まりに おいてはこれは十分大きな数であると思われた訳であるが、今となってはいかにも 小さい数である。更に、問題なのはIPアドレスの構造のために、この40億余り のアドレスにはかなりの無駄がある上に、IPアドレスのほとんどをアメリカ が独占しているという問題があります。 下の表は国別のIPv4アドレス割り当てリストです。ここでは上記の無駄のために、 IPアドレスの残りはもうあまりなく、ほとんどが割り当てられてしまっている 状態の中でアメリカの突出ぶりと、最下位のランクにも登場しない国もまだまだ あるという点、それらの最低のランクでは 256 個のIPすらないというのが現実なの です。

IPv4アドレス国別割り当てランキング (2003年4月7日現在)
順位 CC 国名 合計IP数 割合
1 US アメリカ 1,246,274,560 66.90%
2 JP 日本 103,830,016 5.57%
3 CA カナダ 62,013,952 3.33%
4 GB イギリス 50,894,080 2.73%
5 DE ドイツ 48,699,648 2.61%
6 FR フランス 37,210,112 2.00%
7 CN 中国 30,719,744 1.65%
    中略    
169 SR スリナム 1,024 0.00%
173 BZ ベリーズ 256 0.00%
173 GD グレナダ 256 0.00%
173 NE ニジェール 256 0.00%
173 SZ スワジランド 256 0.00%
173 TO トンガ 256 0.00%
    判定不能 345,088 0.02%
    合計 1,858,318,336 100.00%
サイバーエリアリサーチ株式会社提供データより

こうした問題は、IP南北問題とも言われていますが、絶対的なIP資源の不足が 問題なのであり、次世代 IP とも言われる IPv6 への移行が必然であると 筆者を含めた多くの人が考える理由でもあります。

ちなみに、IPv6ではどの程度のIPアドレスを用意しているかというと、 IPアドレスの長さとしては 128bit を用意しているので、IPv4アドレス の大きさを4乗した大きさになるので、先と同じように 計算すると、以下のようになります。

\begin{eqnarray*}
2^{128} & = & ( 2^{32} )^{4}\\
& \simeq & ( 4 \times {10^{9}} )^{4}\\
& = & 256 \times {10^{36}} \\
\end{eqnarray*}

但し、さすがにこれだけの大きさになると、IPv4の時とは違い、1000と 1024 の違いが大きくなり、256 ではなく 340 ほどに膨らみますが、 それはさておき、注目すべきは 0 が36個も続く数であるという点です。 (ちなみに日本語ではちゃんと読み方があって、340澗(カン)というのだそう ですが、あまり実感は湧きませんね。) 真偽のほどは確かではありませんが、無駄になる部分を見積もった上で、 地球の全表面積でこの大きさを割っても、1$m^2$当たり数千個のIPアドレス があるという試算もあるそうです。 これだけの数があるために、ありとあらゆる機器に全てIPを振るとう話が 出ています。洗濯機や冷蔵庫、テレビやAV機器は言うに及ばず、冷蔵庫に 入れる食品にまで全てIPを振ってしまおうと言うのです。技術的には、 非常に小さな大きさのチップとアンテナに、無線でエネルギーを与えると 自動的に自分のID(RFID)を返すようなものが既に安価に製作できるように なってきているために、食品の製造元や流通過程、スーパーでのレジなど 全ての過程を追跡するようなことが考えられています。こうした仕組みは ある意味では便利かも知れませんが、知らない内に自分の居場所や、持ち物 など全てが筒抜けになるために、どのようにIPを使うのかという問題も 広く社会との関係で今後考えなければならない問題でしょう。



Noriyo Kanayama