5.1.2 ブリッジ

ブリッジは階層的にはデータリンク層で動作するものです。従って、 ブリッジはMACアドレスを解釈することができるものです。そのために、 パケットのソースMACアドレスを記憶することで、接続されているセグメント のどこにどの機器が接続されているかを学習することが出来るようになって います。これによって、通信パケットを必要のないセグメントに流さない ようにすることが出来ます。勿論、これはブロードキャストやマルチキャスト には適用できませんので、そうしたものはブリッジが接続された全ての セグメントに流されることになりますが、大多数を占めるであろう二点間 通信のセグメントを分離できるという利点があります。

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実は、現在主に利用されているスイッチングハブは、原理的には全て ブリッジであると言えます。古いブリッジとの違いは、スイッチにおいては 全ての端末(正確にはポート)に対してブリッジとしての機能を提供する 点にあります。また、スイッチの低廉化と高速化はASICによってもたらされて いる点も重要です。ASICは、Application Specific Integrated Circuit の略で、CPU やDSPとは違い、特定の用途のために回路を組んだLSIです。これは、 ネットワークが拡大することにより、ASICを作って見合うだけの市場規模が 作り出されたことによります。実際、廉価なスイッチやインターフェース カードは、ほとんどの機能がASICで実現されているために、非常に部品点数 が少ないのが特徴です。

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スイッチの高速化と普及は、ネットワークプロトコルに対して大きな変化を もたらしています。それは、高速化のためにデータリンク層などでの変更を 行うのではなく(そうした方向は古くはFDDIや、ATMに見ることが出来ます)、 例えば Ethernet という同じ枠組みで、物理的にどんどん高速化している点 です。そういう意味で、スイッチの登場により、衝突はほとんど問題では なくなり、Ethernetのままで専用回線的に使えるようになったのが重要な 進歩であると言えます。

ちなみに、通常のスイッチに対して高級なスイッチは、インテリジェント スイッチとか、L2スイッチと呼ばれています。前者との対比では、 安価なものはノンインテリジェントスイッチとも呼びますが、SNMP (Simple Network Management Protocol)などのプロトコルがサポート されていたり、内部のトラフィックなどの情報が見ることが出来るような 機能を持つものをインテリジェントスイッチと呼んでいます。 一方、L2スイッチの定義は少しあいまいです。幾つかの定義がありますが、 VLAN(Virtual LAN: 後で触れます)が設定できるようなものをL2スイッチ と呼ぶ場合が多いようですが、初期においてはデータリンク層(Layer2) で動作する、ASICで構成され、高速動作するものがL2スイッチと呼ばれ ましたが、こうしたものが一般化する中で、言葉の定義も少しづつ 変化していっています。



Noriyo Kanayama