5.3.1 データリンク層での冗長性

冗長性を考える場合、当然どの層でそうした冗長性を確保するかが問題です。 ここでは、データリンク層での確保について考えてみましょう。

\epsfile{file=stp1}

ブリッジネットワーク(現在ではスイッチで構成されたネットワーク)の中にループ があると、パケットはその中で無限に走ることになります。しかも、面倒なことに、 スイッチがそれをバイナリに分解して、再増幅するような形になるのです。従って、 ブリッジネットワークにはループがあってはならず、もしループがあれば即座に 増殖するパケットによって帯域は食いつぶされてしまうことになります これはスイッチドネットワークでも同じです(正確にはブロードキャストがループ の中で増殖することになります)。そこで、ループがないまともな状態を スパニングツリーと特別に名前をつけて呼ぶことにします。 そして、このような健全な状態を作り出すために使われる プロトコルがスバニングツリープロトコル(STP)です。

STPはループが存在しても、他のスイッチとメッセージ交換を することで、その存在を検知し、ループを構成する余分なインターフェースを シャットダウンすることで、自動的にループを回避できるようになっています。 つまり、STPを用いると、意図的にループをスイッチネットワークに作成し、 正常時にはループの構成部分を切っておき、異常時にはその落としていたラインを 復活させることで(別のラインが落ちるとループが解消するので)、冗長性を確保 できるような仕組みになっているのです。勿論、ループが発見されるためには、その ループを構成するスイッチがSTPに対応していなければなりません。

\epsfile{file=stp2}

STPはこのようにルータを必要とせずに冗長性を確保できる点に特徴がありますが、 以前は異常検知に時間がかかるためにクリティカルなネットワークではあまり 利用されていませんでした。これに対し、近年、復旧の早いプロトコルが実装され、 高級なスイッチには搭載されるようになってきています(RSTP: Rapid STP)。

また、もう一つのSTPの欠点は、余分に用意したネットワークは普段利用されない 点にありますが、これに対しても、先のVLANと組み合わせた技術でなのですが、 VLAN毎にSTPを適用できる MSTP(Multiple STP)が登場し、これを利用すると 無駄なく利用できる場合もあります。 とは言え、あくまでもトポロジーに依存するので万能 ではありません(MSTP自体はVLANに分けたネットワークそれぞれに冗長性を保証する ためのものです)。

参考

MSTPはCiscoではPVST(Per VLAN STp)と呼んでいる。



Noriyo Kanayama