海上17Kmを無線で接続する実験 

11月20日実験


無線やレーザーを主体とした地域ネットワーク

稚内北星と独立行政法人 通信総合研究所(CRL) との共同研究により、これまでに3高校(稚内高校、稚内商工高校、
稚内大谷高校)、4中学(潮見ヶ丘中学、南中学、東中学、稚内中学)が無線や光レーザーなどを用いて相互接続さ
れています。

Map of Wireless LAN on Wakkanai

無線LAN接続自体は今では普通になっていますが、本学がNetwork接続に無線を利用した実験を始めたのは'95年
からであり、国内でも非常に早い時期から始めています。特に、降雪や地吹雪などの影響が大きい稚内で、無線など
の実証実験を行いつつ、CRLとの共同実験となってからは光レーザーなどを利用した実験へと成長しています。降雪
時に光無線が切断する際には平行に張り巡らせた無線に自動的に切り替えるようになっています。これらの実験は、
同時に気象条件などとの関連での測定を日常的に行うことで降雪地帯での無線、光無線ネットワークの有用性を検証
する試みとなっています。

また、こうしたインフラの上でマルチキャストがどの程度実用的に運用できるかという実験や、IPv6マルチキャストルーティ
ングアルゴリズムの開発を伴う新たなマルチキャストのフレームワークの実証実験も目指しています。

過疎の地域にもネットワークを!

これまでに接続された機関は主に学校で、しかも比較的近距離にありました。しかしながら、稚内市は非常に広く、学校
も広い範囲に点在しています。こうした地域では ADSLですらなく、64KのISDNが関の山という状況にありました。この
ような地域へのネットワーク接続は商業的には中々進展しておらず、今後も困難が予想されています。一方、比較的に
安価な無線などを用いた接続は従来数Kmまでに距離が限定されていました(欧米では20Kmを越えるような製品もあり
ますが、国内では法律により規制されています)。勿論、中継局を置くような方法も考えられますが、冬季の厳しさや風
の強さを考えると、自立型と言えども躊躇せざるを得ませんでした(簡単な風力発電ではプロペラの破損が予想され、
太陽発電のみでは厳しいと思われます)。しかし、昨年から無線LANに関する規制緩和があり、国内でも最大16Kmまで
は通信可能な無線装置が利用できるようになり、早速デモ機をお借りして実験を行った訳です。
all over the Wakkanai City and shools

実際に接続実験を行ったのは稚内商工高校と宗谷岬の近くにある宗谷中学です。市の中心部にある4中学を除くと、
宗谷中と天北中が大規模校である点(とは言え決して生徒数は多い訳ではなく、比較的にという意味)、接続に必要
な視認性という点から宗谷中を選びました。この間は大体17Kmあるために、区間が海上ということもあり、実際に接続
可能か否かはやってみないと分からないという状況でした。

宗谷中

デモ機は2週間ほど借りたのですが、実際には学生が時間があり、かつ天候が良いときを狙わなければならず、実験が
出来るかどうか不安もありましたが、幸い機器が届いてからほどなく天候に恵まれ(11月20日)、実験を決行することにしま
した。まず、宗谷岬までは直線では17Kmですが、車で走ると海岸沿いに行かなければならないので20数Kmもあります。
当然、いつもの実験のように金山が2点間を動き回るのは不可能なので、商工で設置する部隊と宗谷岬に行く部隊に分
け、商工は深井君、久保君の両名にまかせて、宗谷中には金山、妹尾、藤村の3名で向かいました。無線の接続には直
線見通しが必要ですが、実際には宗谷中からは直接商工は見えず(小さな丘が邪魔している)、そのために宗谷中の向
かいの海岸脇にある中学の実習施設から実験を行う予定をしていました(宗谷中と施設は別の無線で接続する予定)。
しかし、現地について測定をしなおすと、どうも民家が邪魔になりそうな雰囲気であったため(屋上からだと問題なさそうだ
が、当日は屋上に登るのは危険であった)、近くの道路脇に車を止めて、車から給電し、車中のノートPCからネットワーク
接続を行いました。

in my car
車中からpingを打つ藤村君
LAN device for Wireless
無線装置

当日はそれほど寒い日ではありませんでしたが、そこは宗谷岬なのです、気温も数度は街中よりも低く、更に非常に強い
風のため外にいると凍えそうです。アンテナも固定することも出来ないために、手で直に持ちますが、風のために同じ方向
を保つことが非常に困難です。寒さのために、アンテナを持つのは交代で行いました。

parabora anntena
パラボラアンテナと車(右エスティマ)

over 17Km, there must be shoko-highschool
この向こう約17Km先に商工がある筈だが

17Kmも先だと目で見ても目標が良く分かりません。そこで、コンピュータ上の電子地図とGPSを用いて2点間の角度を
計測し、現地ではコンパスで方向を決めて、その方向に向かってアンテナを向けることにしました。上下角は幸いほと
んどなく(商工が何十メートルかの高度がありますが、10/17000 なので無視できます)、水平を保てば良い筈です。金
山は実は非常に楽観的で、直ぐに繋がるだろうと思っていましたが、中々繋がりません。何度もアンテナ持ちを交代し
ながら、商工の深井君に連絡をすると、少しアンテナを振ってみるとの返事ですが、まだ繋がりません。後で判明した
のですが、商工では何とコンパスが狂い、方角が全然分からなかったようです(磁場が乱れている?!)。そのために
勘でアンテナを向けていたそうです。風と寒さの中でアンテナを向けて待つこと十数分、ついに藤村君が叫びました。
「とおった!!!!!」
いや、これで報われました。という訳で、手で持っていたにも関わらずpingのパケットがかなり連続的に落ちずに通った
ことから、きちんと固定して合わせれば十分大丈夫だろうと判断し、宗谷中学に挨拶をして大学に帰還しました。
授業を休んで協力してくれた深井君、久保君、妹尾君、藤村君、ありがとう!

最北の中学に早いネットワークを!

この実験の成功を受けて、CRLでは年末で既に予算はなかったにも関わらず、何とか機器だけは購入して貰えました。
宗谷中の施設の屋上に設置する関係上少し工事費用がかかりますが、現在そちらについては稚内市にお願いをして
います。何とか今年度中に日本最北の中学を接続し、マルチキャストなどを用いた通信が他の中学と出来るようにした
いと思っています。

kanayama@wakhok.ac.jp